どうしても続けられない、自分はなぜかいつも途中でやめてしまう・・・。
運動、ダイエット、語学学習、ブログなど、最初の数日は張り切って取り組んでいても、いつの間にか手が止まってしまう経験や、新しいことを始めるときのワクワク感とやる気があっても、ふとした瞬間に挫折してしまう経験は、誰にでもあるものです。
「自分は意志が弱いのかもしれない」と感じたり、親御さんであれば、子どもが習い事や勉強を続けられず、どう接すればいいのか悩むこともあるでしょう。
この記事では、続かない原因を知り、根本的なところから解決して「なにをやっても継続できる」ようになるためのコツやおすすめの本をご紹介しています。このページが、読者の皆さんやお子さんに少しでも「続ける力」を育むきっかけとなれれば嬉しいです。
継続力をつけるコツは「自分を信じる気持ち」が大事
「続ける力」には、自分を信じる気持ち、つまり「自己効力感(self-efficacy)」が大きく影響すると言われています。
カナダ生まれの著名な心理学者、アルバート・バンデューラ氏の研究によれば、自己効力感が高いほど、目標に向かって行動を続けやすく、逆に低いと途中で挫折しやすくなってしまうのだそうです。
自己効力感とは、「自分ならやれる」と感じる気持ちのことで、小さな成功体験を積み重ねることで、自分を信じる心が少しずつ育っていくと言われています。
まずは小さいことを無理なく達成しながら続けること
スタンフォード大学の行動科学者B.J.フォッグ氏が提唱する「フォッグ行動モデル」でも、続けるためには「モチベーション」「実行するための能力」「きっかけ(トリガー)」が揃うことが重要だとされています。
つまり、意志の力だけに頼るのではなく、自分が取り組みやすい環境を整えたり、行動を小さなステップに分けることが鍵となるということです。
例えば、運動を習慣にしたい場合、最初は5分だけ取り組むといった無理のない目標から始めるのが良いとされています。ちなみに私の場合は、あともう少しやりたいと感じる程度でやめるようにしています。
参考: Fogg Behavior Model – Stanford Behavior Design Lab
小さなことの達成が自信とやる気になり継続力につながる
続けられないと、「自分は意志が弱いのでは?」と自分を責めてしまうこともあるかもしれませんし、落ち込んでしまうこともありますよね。
しかし、バンデューラ氏の研究によれば、小さな成功体験を重ねることで自己効力感が高まり、少しずつ自信がつき、行動を続けやすくなるとされています。
たとえば、語学学習において短いフレーズが覚えられたときの達成感が少しずつ自信となり、また明日もやりたいという気持ちになり、より長く続ける力に繋がっていくと言われています。
参考: Self-Efficacy Theory – Albert Bandura
心理学に学ぶ継続力を習慣に変える3つのコツ
「継続したい」という思いを持っていても、いざ日常に取り入れてみると数日はモチベーションを維持することはできますが、毎日の習慣化することは意外と難しいものです。
継続力を身に着けるために3つの具体的なコツを通して、行動を無理なく習慣化する方法を信頼できるエビデンスを基に提案します。どれも科学的な根拠に基づいており、組み合わせて実行することで、継続力をより自然に身につけることができます。
1.小さな目標から始める – 「スモールステップの法則」
これは先ほどの項目と同じです。心理学では、行動を無理なく続けるためには「スモールステップの法則」が効果的だとされています。カーネギーメロン大学の研究によると、小さなステップを積み重ねることで、自己効力感が高まり、行動を続けやすくなるそうです。たとえば、運動を習慣化したい場合、まずは5分だけ取り組むなど、負担の少ない目標から始めるのが良いとされています。
参考: Small Steps Study – Carnegie Mellon University
2.自分へのご褒美を設定する – 「行動強化理論」
「行動強化理論」は、人は達成後にご褒美があると行動が強化され、習慣として定着しやすくなるとする理論です。
心理学者B.F.スキナー氏の研究によると、行動に対して適切な報酬が与えられると、脳がそれをポジティブに評価し、再び行動を起こしやすくなるそうです。
たとえば、ダイエットでジョギングをはじめて、1週間継続できたら1食だけ好きなものを好きなだけ食べる。みたいな自分にご褒美を設定することで、やる気が湧きやすくなります。継続するときは、ご褒美設定も忘れずにおこなってみましょう。
参考: Reinforcement Theory – B.F. Skinner
3.記録をつけて振り返る – 「セルフモニタリングの効果」
行動を記録して振り返る「セルフモニタリング」も、習慣化を促す効果があるとされています。ミシガン大学の研究では、行動を目に見える形で記録することで、達成感が得られ、行動の維持に繋がると報告されています。
カレンダーに「◯」や「×」をつけたり、日記に達成したことを記録することで、自分はできた、やりとげたという成功体験が目に見えるようになり、モチベーションが保ちやすくなると言われています。
参考: Self-Monitoring Study – University of Michigan
子供が継続力を身につけるために親が知っておきたい事
筆者も息子たちを育てる中で、「うちの子だけが続かないのでは…」と、物事を継続してくれないことに対してよく心配していました。
しかし、好奇心が旺盛な子どもが様々なことに興味を示しては飽きてしまうのは、自然なことです。むしろ、無理に続けさせることで自信を損なってしまうリスクの方が、子供の将来にとって大きな影響を与えることがあると今では感じています。
ここでは、お子さんが無理なく継続力を育めるような親子関係の関わり方について、エビデンスに基づきご紹介します。
1.子供の継続力の鍵は「楽しいと感じる環境を整える」こと
例えば、アメリカ心理学会(APA)によれば、好奇心が強い子供は、成長過程で様々な物事に一時的な関心を持ちやすいとされています。
子供の興味に基づいた取り組みは、主体的な学びや継続力の育成に繋がるとされ、特に好奇心を尊重することで「楽しい」と感じられる環境が整い、続けやすくなるといわれています。
参考: American Psychological Association – Curiosity in Child Development
親として子供の成長を願うことは自然なことですが、時に無意識に高すぎる期待をかけてしまうこともありますよね。研究によれば、過剰なプレッシャーは子供の意欲を損ない、自信を失う原因になることがあるとされています。子供のペースに合わせたサポートを意識することが、継続力を育む手助けになるということですね。
2.すぐに成果を求めない、小さな成功体験を積ませてあげること
スタンフォード大学の研究では、親が子供の挑戦を忍耐強く見守り、早い成果を無理に求めず、子供の失敗を受け入れてサポートすることが、自信形成に効果的であると示されています。
研究によれば、最初から高いハードルを課すのではなく、達成しやすい小さな成功体験を積み重ねることで、子供は「自分もできる」と実感しやすくなり、継続力の向上に繋がるとされています。
参考: Stanford University – Parenting and Child Confidence
親がすべての目標を決めるのではなく、子供自身が目標を決める機会を与えることで、主体的に取り組む姿勢が育まれると言われています。研究に基づくと、小さな目標であっても、自分で決めた目標を達成することは、達成感や満足感を生み出し、継続する力を養う効果があるとされています。
読みやすく、わかりやすい「継続力と習慣化に関するおすすめの本」3選!
習慣化に関する本は多くありますが、実際に習慣を続けるためには、ただ方法を知るだけでなく、楽しく、自分に合った仕組みを作ることが重要です。以下に紹介する本は、著者自身の経験や実績に基づき、日々の生活に自然に取り入れられる方法を提案しています。忙しい毎日でも「続ける」楽しさを見つけられる内容が揃っています。
「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考(著者:井上新八)
「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考は、ブックデザイナーとして知られる井上新八氏が、20年以上にわたる習慣化の経験をもとに、継続のコツや楽しさを紹介した一冊です。
読者からは「非常に読みやすく、すぐに実践できる」との声が多く、シンプルでわかりやすい内容が好評です。また、著者自身の豊富なエピソードが綴られており、クスッと笑えたり、時には感動したりと、飽きずに読み進めることができる一冊です。
この本を手に取ることで、継続の方法だけでなく、苦手意識の克服や楽しみ方、自分を変える力についても学ぶことができます。
「超習慣術」短期間で“よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる!(著者:メンタリストDaiGo)
『超習慣術』は、メンタリストDaiGoさんが、心理学の知見を活かして「よい習慣」を無理なく取り入れるための方法を紹介しており、日常の行動を習慣化し、続ける力を高めるための実践的なアドバイスをわかりやすく解説しています。
Amazonの口コミでも「シンプルで実践しやすい」「心理学の知識がわかりやすく学べる」と評価が高く、個人的には、失敗しても自分を責めない「セルフコンパッション」の考え方が非常に印象的でした。このアプローチを取り入れることで、自己肯定感が高まり、無理なく自分の理想に向かって進むことができます。
継続する技術 200万人の「挫折」と「成功」のデータからわかった(著者:戸田大介)
『継続する技術』は、国内No.1習慣化アプリ「継続する技術」の開発者である戸田大介さんが、200万人分のユーザーデータから得た「続けられる人になる」ための秘訣を紹介しています。この本では、データ分析に基づく3つのシンプルな原則を使い、日常の行動を無理なく習慣化する方法が解説されています。
読者からは「物語形式でわかりやすい」「リアルな感情が共感できる」と評価が高く、著者のユーモアあふれる語り口が楽しく、本を読むのが苦手な方でも、頭に入りやすい内容です。今から何かを始めたいと思っている方や、三日坊主を克服したいと感じている方に最適な一冊だと思います。
読んで損しない!親子関係における継続力の育み方に関するおすすめの本
子供が物事を続ける力を身につける過程には、親のサポートが大きな影響を与えるといわれていますが、どのように寄り添い、励ませば良いのか悩む場面も多いかと思います。
このセクションでは、親子でよりよい習慣や継続力を育むためのヒントが詰まった本をご紹介します。毎日の生活の中で少しずつ実践できる内容が得られるかと思いますので、ぜひお子さんとの関わりの参考にしてみてください。
「やり抜く子」と「投げ出す子」の習慣(著者:岡崎 大輔)
『やり抜く子」と「投げ出す子」の習慣』は、ライフスキル教育の専門家である岡崎大輔さんが、非認知能力を通して「やり抜く力」を育むための親子の関わり方を紹介しています。非認知能力とは、学校のテストでは測れない、自己肯定感や問題解決力、コミュニケーション能力といった「見えない力」のことです。
岡崎さんは、教育現場での豊富な経験に基づいて、親が子供にどのように接すればよいかを解説しています。Amazonの口コミでも「わかりやすく、サクサク読み進められる」「親としての不安が軽くなる」と評判もよく、子育てだけでなく、自己成長を考えるすべての方にも役立つ一冊だと思います。
子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉(著者:井上新八)
NPO法人親子コミュニケーションラボの代表理事である天野ひかりさんが、子どもを育むための「認める(≠誉める)」声かけの重要性を解説した一冊。子育てにおいて、親の言葉を子どもがどう受け取っているかを視点に、自己肯定感を伸ばす言葉や接し方について紹介しています。
この本は、例えば「子どもがすぐにやめてしまうとき、どんな声かけをすればいいかわからない」と悩む方や、「良かれと思って叱るが逆効果になっているのでは」と不安を感じる方に特におすすめです。
Amazonの口コミでも「自分の視点で注意してばかりいたが、子供にどう響いているかを考え直すきっかけになった」「多忙な中でもサラッと読みやすく、温かな応援を感じる」と評価が高く、親として子どもとの関係を良好に築くためのヒントが得られる一冊です。
まとめ:目標に向かい小さな達成を実感しながら日々を過ごすこと
この記事では、「続ける力」をつけるためのヒントや、親子で楽しみながら続けられるサポート方法を様々なエビデンスをもとにご紹介しました。
日常の中で何かを続けることは、誰にとっても最初は難しいものです。しかし、ほんの少しの工夫やコツを意識して行動するだけで、少しずつ成長して、少しくらい厳しいことや難しいことでも、それが楽しくなり、だんだんと「続けることができる自分」に変わっていけるというのもご理解いただけたと思います。
ご紹介した本やアイデアが、無理なく自然に取り入れられ、いつの間にか毎日の一部になっていくきっかけになれば嬉しいです。ぜひ、日々の暮らしに少しずつ取り入れて、ご自身やお子さんと一緒に成長する時間として楽しんでみてくださいね。