「光老化」は言葉通り、光によって進む老化のことです。ここでいう光には、紫外線などを含む太陽光線やスマートフォンやパソコンが発するブルーライトも含みます。(1
紫外線が肌に悪いことは、おそらくほとんどの方が知っているでしょう。紫外線が「しみ」や「しわ」の原因となることは有名です。つまり一般的に「紫外線を浴びると肌に悪い」と言われるのは、紫外線が光老化を起こす原因であるからと言えます。
実は肌が老化する原因の8割は紫外線。そう考えると、光老化対策を侮ることはできません。
光老化で老化が進行するしくみ(メカニズム)

紫外線を浴びると、肌がダメージを受けたりコラーゲンの生成が阻害されたりするため「しみ」や「しわ」が発生します。
紫外線にはUVB(紫外線B波)とUVA(紫外線A波)とがあり、UVAの方は真皮まで、UVBは主に表皮にダメージを与えます。
UVA(紫外線A波)は奥まで届きダメージを与えしわやたるみに
真皮にはコラーゲンの生成に関わる組織があるのですが、UVAがこの組織にダメージを与えてしまうのです。
そのためコラーゲンの生成が阻害されて肌がたるんだり、しわができたりします。
UVB(紫外線B波)は表皮にダメージを与えしみの原因に
一方でUVBは表皮にダメージを与えることで肌に炎症を起こしたり色素沈着を起こしたりします。
紫外線のダメージから肌を守ろうと、しみの原因となるメラニンが大量に生成されてしまうのです。このようにUVAがコラーゲンの生成を阻害し、UVBがメラニンを生成することで肌を老化の道を進んでいきます。
近年はブルーライトも光老化の原因として問題視されている

この紫外線と同様にブルーライトも肌にダメージを与えます。スマートフォンやパソコンのモニターから多く放出されるブルーライトも、肌の奥まで入り込み紫外線と同じようにメラニン色素の生成を促すことがわかっているのです。
さらにブルーライトを浴びることで睡眠の質が低下し、関節的に肌荒れを起こすことも示唆されています。(2
受けてしまった光老化はケアで症状は徐々に穏やかになる
ある程度の年齢の方は、すでに紫外線ダメージを受けてるし今さら対策してもムダ。と感じている方もいるかもしれません。
しかし、光老化によって進行した老化の症状は、日頃の紫外線やブルーライトを防ぐことで、症状はよくなっていくと言われています。
光老化対策は早いほどいいですが、遅くても問題ないということです。
光老化を対策するにはとにかくい光を防御する
光老化の原因となる紫外線やブルーライトをまったく浴びないこと。ですが現実的に考えて現実的ではありません。であればいかに紫外線やブルーライトを浴びる量を減らせるかが重要となります。
日焼け止めを使用し紫外線を浴びないように意識すること
紫外線によるダメージを減らすためには、日焼け止めなどのUVアイテムを使うことが基本となる対策方法です。
肌が紫外線を直接浴びないように長袖や帽子を着用したり、外出するときは小まめに日焼け止めを塗り直したりすることで紫外線を浴びる量を減らせます。
・ブルーライトはモニターの調整やアイテムを活用する
またブルーライトを防ぐためにはブルーライトを軽減するようにモニターやスマートフォンを設定する、ブルーライトカット効果のある眼鏡を使用するなどの対策方法があげられます。
できるだけブルーライトの放出量が少ないアイテムやカットしてくれるアイテムを使うことが大切です。
多くの方が毎日触れるスマートフォンでも、ブルーライトをカットしてくれる無料のアプリが今は多くリリースされています。
光老化を防ぐための日焼け止めの選び方と使い方
最初にもお伝えしたように肌老化の8割は紫外線が原因です。そのため紫外線を防ぐ日焼け止めは、ちょっとした買い物や洗濯物を干しに外に出るくらいでしたらSPF15、PA+程度のもので十分です。
長時間外に出るときや海やプールに行くときはウォータープルーフの日焼け止めを使うと落ちにくく紫外線を防ぐ働きが持続します。
受けてしまった紫外線ダメージはインナーケアで対策する
日焼け止めやブルーライトカットのアイテムを使うことが光老化を防ぐ一番の方法ですが、紫外線は地面や水にも反射するため、100%防ぐことが難しいです。
そこで大切なのがインナーケア。いわゆる抗酸化作用を持つといわれる色の濃い果物や野菜、ナッツなど積極的に取り入れ、紫外線ダメージを受けても、老化の原因になるまえに「なかからケア」し立ち向かうことができます。(5
抗酸化作用を持つ成分としては、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンE、アスタキサンチンやリコピン、アルファリポ酸などが有名です。
ビタミンAは緑黄色野菜、ビタミンCは果物、ビタミンEは植物性油脂やナッツ類に多く含まれています。アスタキサンチンは赤い色の魚介類に多く含まれている成分です。
30歳を超えると減少しシミしわが増えやすくなる
抗酸化作用はもともと私たちの体にあるSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)という酵素が担っている働きなのですが、このSODは30代を超えたころから減少していくことが知られています。(6
そのためビタミンCやアスタキサンチンなどのサプリメントを使って補うのもよいでしょう。
光老化をケアするための化粧品はビタミンA
光老化から肌を守り、いつまでも若々しく保つためには外側ケアも大切です。
化粧品によるスキンケアは、ビタミンA(レチノール)を含む化粧品が光老化対策に有効であるという論文が発表されています。(3
ビタミンAの誘導体であるトレチノインクリームを84日間使用したところ、光老化の代表的な症状であるしわや色素沈着などを大幅に改善したのです。
ビタミンAはうるおい成分の一つであるヒアルロン酸の産生を促進するといわれており、ビタミンAを含む化粧品は光老化対策として優秀なものであると言えるでしょう。
ビタミンDの生成のために適度に紫外線を浴びることも大切
実は、紫外線は悪いものではなく私達の健康が保たれている部分もあります。
人間の体は紫外線を浴びることで、ビタミンDが作られるようにできており、ビタミンDが不足すると骨粗鬆症など様々な健康リスクが高まることは有名です。
日本人はビタミンDが不足している傾向
日本人はビタミンDが慢性的に不足していると言われています。しかし紫外線は光老化の原因になるため、紫外線を浴びたくないと感じる方も多いでしょう。
体内でビタミンDを作るのが目的であれば、手の甲を日光にさらすだけでも構いません。
住んでいる地域にもよりますが、夏期であれば15~30分、冬季であれば1時間ほどを目安に紫外線を適度に浴びることも大切です。(4
総論:光老化対策は紫外線を防御し、スキンケアとインナーケアで対策する
光老化とは紫外線やブルーライトによって肌がダメージをうけ、しみやしわができやすくなることです。
紫外線を防ぐためには日焼け止めや帽子、ブルーライトを防ぐためにはブルーライトカットのモニターや眼鏡、スマートフォンのアプリを使用するなどして対策できます。
抗酸化作用のあるビタミンが含まれる緑黄色野菜やサプリ、ビタミンAを主成分とした化粧品でケアしていくことも有効です。
じわじわと肌にダメージを与える光老化をケアするためには、日頃からできることを続けていくことが重要となります。
参考文献
(1川田 暁(2005) 『光老化皮膚』,株式会社南山堂.P21
(2:Nakashima Y1, Ohta S1, Wolf AM2. (2017) “Blue light-induced oxidative stress in live skin.,” Free Radic Biol Med,108:300-310.
(3:Bouloc A, Vergnanini AL, Issa MC.(2015年) “A double-blind randomized study comparing the association of Retinol and LR2412 with tretinoin 0.025% in photoaged skin.,” J Cosmet Dermatol,(1),40-6.
(4:太陽紫外線による健康のためのビタミンD生成と皮膚への有害性評価
(5 著者:デスモンドフェルナンデス(2011年)『Drフェルナンデスのスキンケアのすべて』,P59,幻冬舎メディアコンサルティング
(6 著者:宇山光男、岡部美代治、久光一誠 (2018年)『化粧品成分ガイド 第6版』,P287,フレグランスジャーナル社